お遍路たちは結願をめざす

30歳で歩き遍路を37日間かけて達成した記録。野宿は19回でした。2022年11月30日結願。随時更新予定。

27日目(44〜47番)11月20日

◯歩数 56061歩

◯距離 約42km

◯出費 

・食費 970円

・雑費(線香) 450円(拾ったお金で買った)

 

朝は4時半くらい?起床。

5時過ぎに出発。

まだ真っ暗の中歩き出す。

ザックはフロントに預けて、トレッキングポールは持ってきた。荷物ないとは言え、ポールはあった方が絶対よい。

小さなポシェットは持ってきているので、それに参拝グッズと行動食。あとペットボトル一本をズボンのお尻ポッケに突っ込み、納経帳はダウンの内ポケットに入れた。

これで岩屋寺までの往復22キロを駆け抜けてやるぜ。

 

真っ暗の県道をヘッドライトだけで駆け歩く。

軽い!体が軽い!!

荷物が無いって素晴らしい。お遍路で初めて荷物なしで歩くが、ここまで楽だとは・・・

この調子なら結構早く宿に戻れそうな予感・・・

 

5キロほど進んで空が少し明るくなってきた。ちょうど、八丁坂経由の遍路道への分岐点に着いたので、そっちに進むことにした。

 

八丁坂を経由して、古岩屋荘を通過する。

古岩屋荘そばの休憩所でテントを片付けてる人を見つけるが、昨日のこともあり、また先を急いでいるので、声をかけずに通過した。(実はこれも伏線で回収されることになる)

 

7:15古岩屋トンネル通過。

このトンネルの出口から「古岩屋遍路坂」があるらしいのだが、実際この時歩くことに集中していたので気が付かなかった。そもそも遍路地図上でも見落としていて把握していなかった。

実はお遍路通して結構これがあった。もっと近い道とか、遍路道あるのに、地図見ていないばっかりに遠回りするとかそのまま通過してしまうとか。

 

岩屋寺到着と思いきや、山の上にあるらしく後20分かかるらしい。

45番 岩屋寺

山門を抜けると、果てしない石段が現れる。

今までで一番長い石段かもしれない。

お遍路あるあるとして、山門をくぐった後に長い石段が現れるパターン。

ここまで13〜14キロのザック背負って歩いて乗り越えてきたのである。加えて、今は身体ひとつ。確かに距離は長いがこの程度の石段如き、どうってことない。

そう思える自信と体力がついたらしい笑

 

7:45岩屋寺到着。

線香を切らしていたので、納経所で買う。450円。ここまでお金を600円くらい拾っていたのでそれで買った。

岩屋寺本堂。写真だと分かりづらいけど、かなり迫力がある。というのも、背景の岩壁に寺が張り付いている。というかめり込んでいるのか・・・なので、落石があるらしい。

洒落にならん、危なすぎる。

いや、なんでこんなところに寺を建てるんだよ!

上がれるらしい。冒険者は、行く。

怖え・・・一応、梯子の上の広場だけ見てきた。木の梯子で、それも太い、かつ表面がツルツルしている。握り込むことができないので、非常に危険。高さは5メートルくらい。小さい子供と父親が上まで上がっていたけど、よく登らせたなと思う。

 

休憩所でエネルギー補給。にゃんこに狙われる。

 

そして44番大宝寺を目指して出発。

道中、宿が一緒だったおじさんに出会う。朝、大宝寺打ってこれから岩屋寺だと言う。通し打ち。おじさんは今日は連泊でこの往復で終わりだという。もう会うことは無いだろう。

峠御堂トンネル前、遍路道の方が近いのだが、状況が悪いみたい。冒険したいところだが、今日のゴールはまだまだ先なので安全サイドに舵を切りトンネルへ。(ただ、トンネルはトンネルであぶない)

トンネル抜けたところで、また宿が一緒だった人に出会う。この人も今大宝寺を打ってこれから岩屋寺。通し打ち。この人にももう会うことは無いだろう。折角久しぶりに通し打ちの人に会えたのに、ちょっと残念。

足摺岬を打ち戻ってから、お遍路さんに出会う頻度が減った気がする。

 

44番 大寶寺 (だいほうじ)

10:30大宝寺着。山門がでかすぎて入りきらない。でかいわらじもお遍路の寺の山門にはよくある。

参拝を済ませ宿へ急ぐ。11時頃、荷物をピックアップ。なんだかんだ往復で6時間近くかかった。宿の人にお礼を告げ出発。47番八坂寺の通夜堂に泊まりたいので、あと20キロ以上ある・・・

 

12:00、豚太郎でランチ。豚太郎何回目だろう笑

お店を出てしばらく行くと、道路脇で休んでいる老夫婦のお遍路さんがいたので話しかけた。逆打ちらしい。三坂峠まではずっとダラダラとした登り道で国道だと教えてくれた。

別れ際、老婦人が言った。

「良い時間にしてね・・・」

「お遍路をですか?」咄嗟に聞き返す。

「そう」

 

あまりにありふれた、特別感も飾り気も全く無い、それでいて掴みどころの無い言葉。

老父婦と別れ、歩いている間、彼女が言い放った何気ないそれが何度も頭の中で反芻された。

良い時間、とはなんだろうか?

何を以って良い時間になるのだろうか、定義は何か?全くわからない。

毎日毎日きつい思いをして歩くことになんの意味があるのだろうか。四国を歩いて一周するという目標はあるけれど、それってコスパで考えると最悪だから、他にもっと楽しいことをやった方が良いのではないかと、足摺岬に着くまではずっと思っていた。今は帰りたいというよりかは早く終わらせたいなという気持ちの方が強い。

高知の芸西村で会った老夫婦。33周するのが目標の社長。5周目の野宿マスターのNKさん。3周目のyoutuberさん。なんでみんなそんなに回るんだろう・・・

 

そんなことを考えながら、途中休憩挟みつつ、三坂峠に着く。

ちょうど14時。

松山の街が見える。ついに、ついに・・・松山だ!

14:50、坂本屋でお菓子のお接待を受ける。日曜日しか開いておらず、かつ15時までらしく、タイミングがよかった。時間があればもう少し休んで色々話をしたかったが、あと2時間しかないので先を急ぐ。

 

間に合わないかもしれない・・・!

ここでウォーキングハイモード突入。

46番 浄瑠璃寺

16時着。16時20分出発。なんとか間に合いそうだ。八坂寺までは1キロしかない。

コンクリのお城があったので撮影。ちょうどそこに原付に乗ったおばちゃんが停まる。全部歩いているのかと尋ねられ、そうだと言うと、偉いわね〜と。必ず良いことあるから頑張ってねと応援される。偉いかどうかはわからないが、良いことはありそうな気がする笑

47番 八坂寺 (やさかじ)

16時半八坂寺到着。今日もなんとか目標達成!

こちらのお寺には通夜堂があって、高知の禅師峰寺で会ったNKさんにお薦めされていたところ。「歩き遍路をしたからには、ここだけは是非泊まって欲しい、歴史が詰まっているので」・・・と。

 

その歴史というのがこちら。

壁に貼られたメッセージボード!他の壁にも貼ってあるし、奥には何枚も書き終えて立てかけられているやつがあった。一番古いやつで2002年のがある。

すごいでしょう!これ!

コロナの影響でお遍路の人数は随分と減り、閉業した民宿も数知れず・・・以前は外国人のお遍路さんが本当に多かったらしい。遍路小屋や通夜堂にはノートが置いてあって、みんなそれぞれの思いを書き残しているのだけど、英語圏だけじゃなくて、何語か分からないけどいろんな国の言葉がコロナ前のノートにはよくあった。

 

通夜堂には先客がいた。名前は岡さん(仮名)、実はこの人が、今朝見かけた、古岩屋荘の側の休憩所でテントを片付けていた人だった。色々話しをした。そして不可解なことが起こる。

昨日、内子の遍路小屋で会った、臭いおっさんについてだ。

岡さんがこのおっさんに2日前に会っているというのだ。それも、私が会った遍路小屋の6キロくらい手前の、大瀬の休憩所で。

岡さんがその人柿持っていなかった?と・・・確かにあいつは持っていた!

で、驚くべき不可解なことは、自分と岡さんとで共通の情報はもちろんあるのだが、岡さんが聞いたのは、順打ちでその日は大瀬の休憩所で泊まるという内容だった。

私が聞いたのは、逆打ちで十夜ケ橋の通夜堂に泊まってここまで戻ってきたという内容。

まるで噛み合わない。あの臭いおっさんが嘘ついていたのか、あるいは、この目の前にいる岡さんが嘘ついているのか・・・・

怖い。とても怖い。後者の線は薄いと見て、やはりあのおっさんはやばい奴だったんだと思う。謎が残るけど・・・。

 

通夜堂は中に壁が一枚あり、一応2部屋ある。ので私は奥の部屋へ。でかいゴキブリがいたので迷わずテントを張る。気温も結構下がってきているので、そのままシュラフよりテントの中の方があったかいし、それに落ち着く。岡さんは布団を敷いていた。

 

明日はついに松山に着く。

今日歩いて思ったのは、野宿を辞めようかということ。まだ迷ってるけど、明日歩きながら決めようと思う。今日の午前中荷物無しで歩いて、荷物さえ軽ければもっと歩けることが分かった。加えて、あの老婦人に言われた「良い時間にしてね」という一言で、このままだとお遍路がただ重い思いをして歩く辛いだけの思い出になってしまうかも知れないと思ったこと。あと単純にこのままのペースからもうちょいあげれば、11月中に結願できるということ。この先、10日から2週間で終わることは確かだ。あとは、旅行支援も使えるし、松山以降は街が多いので、ビジホも多い。

これまで通り野宿と宿両方で行くか、野宿を辞めて、スピード勝負に出るか。

 

 

今日のブログは今までで一番長くなった。

お遍路もいよいよ最終章に突入していくようだ。

 

明日に続け!